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  大野山~丹沢湖 冒険ハイク (2/2)

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山北方面への山道をイヌクビリで分岐して丹沢湖へ下っていきます。

最初こそ広い砂利道の車道で歩きやすかったのですが、案内板に従ってハイキングコースに入った途端に様相が一変しました。
IMG_7557.jpg 案内板に「ハイキングコースはこちら」と書いてあるが、もうこの時点で「行ってはいけない」オーラが滲み出ていると思う。
まずこの登山道ですが、下るだけ、という認識がそもそも間違いで、実際はアップダウンが連続する急勾配の尾根道になっています。一番険しい所だと、なんと鎖場まであります。
山道にはいたる所に蜘蛛の巣が張っていてストックで破りながら進むわけですが、それらはどれも私の胸ほどの低い位置にあります。しかもちょっと引っ掛けたくらいでは切れない、白くて粘り気のないタイプです。このことから、少なく見積もっても3~4日は誰もこの道を通っていない、と断言できます。
歩いていると、足元の茂みや頭上の梢で小動物が動く物音がして何度かドキッとさせられました。

人の気配がまったくない山道はうっそうとして薄暗く、段々と心細くなってきます。
登山初心者なら「なぜこんな所に来てしまったのか」と後悔するレベルですが、私の場合、濃霧の森歩きや、痛めた膝で日没間際の山道を必死で下る、といった経験をしているので、それと比べたら全然マシだ、とまだ諦めがつきます。

切り立った尾根道を歩いているとき、突然ガサガサッと大きな音が響いて心臓が飛び出そうになりました。
谷間を見下ろすと、2匹の鹿が逃げていくのが遠くに見えました。

IMG_7573.jpg 下りの砂利道は急な上に滑りやすく、気が抜けない。
私は低山の日帰りハイクが専門で本格的な山道具は持っていないが、この時ばかりはアイゼンがほしくなった。

IMG_7578.jpg 切り立った崖上の道。
滑落して足でも折ったら絶対に助からないだろうな(誰も通りかからないから)と、細心の注意を払って歩いた。


秘境ムード溢れる山道を2時間ほどかけて歩き切り、ようやく丹沢湖のダム公園に到着しました。当然ながら、途中で行き会ったハイカーなど一人もいませんでした。

IMG_7590.jpg 心細い山道とはうって変わって、ダム公園は整備が行き届いた明るく開放的な場所でした。あまりの落差に「ここが天国か!」とマジで感激しました。
広々とした園内には緑の芝生が広がり、ダムの高台に続く斜面では可憐な草花が風に揺れ、極上の癒し空間を形成していました。即、園内の癒しスポットを巡る撮影タイムに突入したのは言うまでもありません。
良い風景に、もう今日はここから動きたくない!という気持ちが強くなってきます。

IMG_7605.jpg IMG_7608.jpg
切り立った山肌の間に大きな青空を臨む丹沢湖ダム公園。
老夫婦が遊歩道をのんびり散歩し、家族連れが芝生でくつろぎ、花は咲き、鳥は歌う。静かで穏やかな時間が流れてゆく。

IMG_7616.jpg ダム公園から見上げる大野山頂上。
上から丹沢湖が見えたのだから、当然下からも大野山が見える。当たり前のことだが、大変な思いをしてここまで来たので何となく感慨深いものがある。

IMG_7606.jpg 観光地とかでよく見かけるエロスなオブジェがここ丹沢湖にも!
いい脱ぎっぷりで、勝手に「痴女の像」と命名した。
ところで事前に計画していたサイクリングや温泉ですが、険しい山道でメンタル的に疲労したのと、ダム公園で癒されているうちに何となく落ち着いてしまったのとで、この後何かする気力が湧かず、結局断念してしまいました。どれくらい気力がなかったかというと、「目的の丹沢湖の風景を撮るのを忘れていた」くらい、です。あと、この時点で午後3時くらいだったので時間的な余裕があまり無いと判断したのもあります。


下の公園から上のダムまで一回りし、心行くまで風景を堪能した後で谷峨に戻ることにしました。

丹沢湖から谷峨へはバスが通っていますが、せめてもの抵抗で駅まで歩いてみることにしました。が、足にクる舗装道路歩きとひたすら続く市街地の風景に1時間ちょいで挫折してバスに乗ってしまい、我ながら「ダサすぎんだろ」とヘコみそうになりました。
とは言うものの、ヘコもうがダサかろうが本日の山行を何とか乗り切ったわけですし、疲れれば腹は減るし汗をかけば冷たいものがほしくなります。なので最後はもちろん打ち上げです。

谷峨駅到着後に近くの定食屋に移動し、ミックスフライ定食をオーダーしつつ、まずは冷たいビールで乾杯しました。本日撮ったデジカメ写真を見返しながらのんびりビールを飲む、至福のひとときの始まりです。

IMG_7641.jpg 写真を眺めながら、恐ろしくもスリリングだった山道や心安らぐ公園の風景に思いをはせ、センチメンタルな旅人を気取りつつスキを見てミックスフライをむさぼり喰らい、すかさずビールのお代わりを注文するなどしているうちに、谷峨の夕暮れは刻々と過ぎていったのでした。



さて今回の山行を終えての感想ですが、最初こそ「本当に酷い道だった」「二度と行くか」という感じだったですが、時間が経つにつれ「もしかして結構楽しかったんじゃないのか?」「スリルがあって冒険してるみたいだったし」と前向きな印象に変わってきました。
まあ山歩きには良くあることです。
あと1時間早く登り始めれば余裕をもって行動できるでしょうし、2回目ならば勘所やペース配分もわかっているので、荒れた山道で怯えることもないでしょう。何より「丹沢湖でサイクリング」と「中川温泉で湯治」の宿題が残っていますので、来年もぜひ挑戦したいと思います。



IMG_7628.jpg

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コメント(2)

どうもはじめましてm(__)m
ブログ大変参考になりました
正に今日なんですが 大野山~丹沢湖のハイクをしてきました
しかし。いくつも大失態をしてしまい
反省を~と思い検索していましたらこちらにたどり着きました
愚直極まりないですか聞いて頂けると幸です
谷峨~大野山まではサクサクハイクでした
天気もよく気分はサイコー
大野山から山北までの下山では物足りないな…
と思ったのがそもそもの間違い(>_

地図を見て気になったいた丹沢湖へ!
簡単に行けると私もこの時点では…
林道を進んでいくすがらで
ゲート手前の登山道に全く気づかなかった事
林道をずーーーと歩いて進んでしまったのです!
工事のおじさんに聞いて戻る(>_ そして登山口
草木がぼうぼうで看板も隠れており
写真にあったような青い紙もすっかり剥がれていました
めげずにチャレンジしましたが
万年登山初級の自分には堪えるコースでした
ストック使っているのにしりもちついてしまうし!
ですが楽しいコースかな?とも思います

ですが現在は超マイナーコースなのですかね、
すれ違ったハイカーは1名のみ
蜘蛛の巣を何十も潜り抜けました。
登山道もかなり自分にとっては解りづらく
分岐や二俣の道で迷っては地図アプリで現在地確認
とハラハラものでした

でいちばんの失態はもう少しで三保ダムという鉄塔下付近で
下山ルートを完全に見失ってしまったのです

>やまさん
どうもはじめまして。あと返信が遅れてしまい大変申し訳ありません。

丹沢湖の登山道は、事前情報ありで歩いても結構ひく部分があったので、
いきなり挑戦するのは(主に心理的側面から)ハードルが高いかも
しれないですね。
お話ですと今は更に荒廃が進んでいるようで、「これ以上すごく
なったらどうなってしまうんだ!」と戦慄を覚えるものがあります。

三保ダムには無事たどりつけたのでしょうか。あの鉄塔のあるピーク
周辺は無駄に開けているので道の続きが見つけづらく、難儀した記憶が
あります。

ただ、普段整備された山道ばかり歩いている身としてはかなり
インパクトのあるコースでしたし、今年のゴールデンウィークにも
再挑戦してきたので、結構お気に入りのコースなのかもしれません。
2回目なので結構余裕をもって歩けたのと(それでも少し心細い所も
ありましたが)、懸案の丹沢湖周遊サイクリングも実現できて中々
充実した山行でした。

この調子で2年に一回くらいは登ってみようかな、と思っています。

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